今、IT業界のエンジニア職業を探す場合、SE、SIer、SESやWebディレクターなど、 混乱したり、どんな業種か分かりにくいことが少なくないと思います。
ネットで調べても他のサイトで解説されているものは、数年前の古いものであったり、IT業界の範囲がWeb業界が含まれておらず、 限定的であったりして余計に混乱を招きます。
そんなわかりにくい今のIT業界の動向や職種を現役IT業界関係者の視点から整理して、なるべくわかりやすい解説をします。
もし、本記事の内容がわかりづらく「ここはどうなの?」という質問・疑問や、間違っているところがあれば、 本ページ最後の”問い合わせフォーム”からお気軽にご連絡ください。
✅本記事でご説明するIT業界の業種と職業の用語はこちらです。
<SIer業界>
- SIer (エスアイヤー)
- SE (システムエンジニア)
- SES (エス・イー・エス)
- インフラエンジニア
- サーバ系エンジニア
- ストレージ系エンジニア
- データベースエンジニア
- ネットワークエンジニア
- 仮想基盤エンジニア
- アプリケーションエンジニア
- パッケージエンジニア
- プログラマ
- システム運用エンジニア
- システムコンサルタント(ITディレクター)
<Web業界>
- Webプロデューサー
- Webディレクター
- WEBプランナー
- WEBデザイナー(UXデザイナー)
- コーダー(マークアップ・エンジニア、HTMLコーダー)
- Webプログラマー(フロントエンドエンジニア)
- バックエンドエンジニア
- Webマーケター(Webマーケティング)
- Webアナリスト
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目次
IT業界の全体像:SIer業界とWeb業界 それぞれの今後の需要見込みは?
現在のIT業界は、BtoBビジネスとBtoCビジネスという誰を顧客にするかというビジネスモデルを軸にすると、SIer業界とWeb業界に大きく分かれます。
SIer業界の企業は、ある業界(例えば、金融や通信など)から子会社化したケースが多いです。
就職や転職の会社選びの際は、ホームページの会社概要などで、 “社歴”と”出資割合(株主)”などを見るようにすると、会社の業務内容や経営方針が伺えます。
Web業界の企業は、ちょっと昔のHP(ホームページ)制作とは大きく変化しており、 Webサイトの静的・動的コンテンツ以外にWeb広告やSNSなどを活用したコンテンツ制作、また、マーケティング戦略などにも幅を広げています。
Web業界:BtoBの需要と規模が伸び、BtoCは多様化
Web業界は、BtoBビジネスモデルで、大規模の仕事を請け負う企業は
まだ少なく小規模のものばかりですが、今後の市場伸びとあわせてそのような
企業も増えてくると予想されます。
また、昨年の2018年もそうでしたが、BtoCビジネスは働き方改革の促進で、フリーワークスタイルの需要と供給がますます伸びるため、当面は多種多様な雇用形態やビジネススタイルが生まれるでしょう。
SIer業界が今後市場が伸びる理由は?
SIer業界は、BtoBビジネスモデルという特徴もあり、取り引き関係のある企業と
一緒にビジネスを展開します。
つまり、IT技術を駆使して、業務利便性や効率化を顧客企業を一緒に取り組み、
また、市場を国内から国外にも広げて展開していくため、今後ますます需要は
高まります。
SIer業界の職種
SIer企業は、規模によって少し変わりますが、基本的な人員構成としては、
「営業職」、「事務職」、「技術職」に役割が分かれます。
「営業職」は顧客営業や製品・サービス営業に分かれる場合もあります。
「技術職」は、SE(システムエンジニア)とも呼ばれ、この職種が非常に細かく分かれます。
ここで、重要なポイントは、SIer業界の技術職がSE(システムエンジニア)のこと、
と覚えておいてください。
SE(システムエンジニア)は更に4つの職種に分類される
SE(システムエンジニア)の職種は、更に以下の4つの職種に分かれます。
インフラエンジニア
インフラとはシステム基盤のことで、その設計や構築を行うエンジニアのことです。
アプリケーションエンジニア
アプリケーションとはプログラムのことで、その設計と開発を行うエンジニアのことです。
システム運用エンジニア
インフラエンジニアが構築したシステム基盤を通常2年~5年間の保守(管理)するエンジニアのことです。
システムコンサルタント(ITディレクター)
システム基盤やアプリケーションの導入をアドバイスするエンジニアのことです。
例)
パソコンを100台にするのか500台にするのか、ウィルス対策ソフト以外に
インストールした方が良い製品などを比較しながらアドバイスします。
そのときにそれぞれの比較案で予算がいくら掛かるかといったアドバイスもします。
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インフラエンジニアは更に5つの専門職に分かれる
インフラエンジニアは、システム基盤全体をカバーするため、専門職(エキスパート)では更に細かく分かれます。
ちなみに、下記の複数の専門職の技術を数年かけて習得した人材を、「インフラエンジニア」と呼ぶ、と覚えてください。
サーバ系エンジニア
有名製品メーカーではDell、HP、NEC、富士通などのサーバ製品の設計と構築を行うエンジニアです。
(※注:メーカー名の順番に意図は全くありません。以下、同様です)
例)
自宅パソコンの機器本体に詳しい技術者
ストレージ系エンジニア
有名製品メーカーではDell EMC、NetApp、日立、NEC、富士通などのストレージ製品の設計と構築を行うエンジニアです。
例)
自宅パソコンの外付けハードディスクに詳しい技術者
データベースエンジニア
有名製品メーカーではOracle、Microsoft SQL、DB2、PostgreSQLなどのDB製品の設計と構築を行うエンジニアです。
例)
GoogleやYahooなどで、検索するとすぐ結果が表示されますが、あの仕組みです。
大量データから特定条件の検索結果を即時に返すアプリケーションを扱う技術者のことです。
ネットワークエンジニア
有名製品メーカーではCisco、Dell、HP、NECなどのNW製品の設計と構築を行うエンジニアです。
FW(ファイヤウォール)やLB(ロードバランサー)などになると更に多くの製品メーカーがあります。また、最近はNW製品の仮想化も進み、VMwareなども参入してます。
例)
有線ネットワークや無線ネットワークに詳しい技術者のことです。
仮想基盤エンジニア
VMwareやMicrosft Hyper-Vなどの仮想化製品の設計と構築を行うエンジニアです。
また、Amazon AWS、Microsoft Azure、NTT Commications BHECなどのクラウドサービスの設計や構築を行うエンジニアも含まれます。
アプリケーションエンジニアは更に2つの専門職に分かれる
アプリケーションエンジニアは、更に2つの専門職があります。
今は、日本人プログラマは、人数が大きく減ってきてます。
プログラムをゼロからコーディングして、アプリケーションを作ることを「フルスクラッチ開発」と呼びますが、今の時代はこのような開発手法はほとんどありません。理由は、開発コストが高くつくことと納期(開発期間)が長くなるため、企業にとってデメリットしかないためです。
そのため、SIer業界のアプリケーションエンジニアの割合は、パッケージエンジニアの大部分を占めるのが現状です。
プログラマの職種は、「パッケージエンジニアと兼用」する、「Webプログラマに移る」か、「組み込み系OSプログラマの道を進む」か、の3択になりつつあります。
パッケージエンジニア
プログラム開発したアプリケーションをパッケージと呼びます。
例えば、ウィルス対策ソフトや会計ソフトなどもパッケージ製品です。
それらアプリケーションの追加開発や保守(バグ対応)、バージョンアップなどを
対応するエンジニアのことです。
プログラマとの違いは、”製品”の使用方法や内部仕様に非常に詳しいという点です。
プログラマ
プログラマは、開発言語(C++、Java、Rubyなど)を使ってプログラム開発を行う
エンジニアのことです。
SIer業界では、業務系アプリケーション開発か、スマホ系アプリケーション開発か、組込み系OSのエンジニアに分かれます。
(Web開発の場合は、Webプログラマーと呼びます。)
プログラマ種類 | 主な開発言語 |
業務アプリケーション | Java、C、C# |
スマホアプリケーション | iPhone用アプリはSwift Android用アプリはJava、Kotlinなど |
組み込み系OS | C、C++、javaなど |
Webアプリケーション | HTML、CSS、JavaScript、Java、PHPなど |
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Web業界の躍進とともに職種が変化している
Web業界は、ここ数年で職種が役割に応じて、明確に分かれてきてます。マーケ分野の重要度が高くなったことと、開発規模自体が多くなってきたというところに要因がありますね。
先に、Web業界の主な仕事内容は以下の通りです。
<制作する主なWebコンテンツ(モノ)>
- Eコマース (例:Amazonや楽天のWebサイトなど)
- ネット広告(Web広告、動画広告など)
- Webポータル
- Webアプリ
次に、Web業界では、先ほどのWebコンテンツ(モノ)は、一般的には以下の①~③流れで制作します。
<Webコンテンツ(モノ)提供の流れ>
① 企画
顧客折衝、市場(マーケット)調査、コンテンツ企画
② 開発
UX(外部デザイン)設計、製造、テスト
③ 運用・評価・見直し
提供後の評価、分析、見直し
※コンテンツ提供は、上記のPDCAサイクルという手法で実施されるケースが殆どです。
上記を踏まえて、Web業界では、役割担当が以下のように分かれます。
Webプロデューサー
Webコンテンツ提供の総責任者で、上記のWebコンテンツ(モノ)提供の流れのすべての工程の責任があり、何かあったときに進めるか止めるかなど意思決定をする立場にあります。
会社間同士では会社の顔としての立場、社内ではチーム全体を預かる身として、ある程度将来を含めた経営目線での物事の判断ができる人材である必要があります。
Webディレクター
主に、上記のWebコンテンツ(モノ)提供の流れで、②開発~③運用・評価・見直しの実行管理者という立場です。
実際には、Web制作を実行する際には、管理面で顧客調整やチームメンバの管理、トラブル対応など様々な課題が発生します。
Webディレクターはそれを調整しつつ、Web制作のQ(クオリティ:提供品質を満たすか)、C(コスト:予算内に収めること)、D(デリバリ:予定納期に間に合わせる)を実現しなければなりません。
その管理と調整を実行することでできる必要があります。
WEBプランナー
Webコンテンツの開発には、利用者に見える外部デザインと、プログラムが動く内部設計と2つの役割があります。
Webプランナーはその両方のチームを管理して、設計を進めるリーダ的な立場です。
両方の知識がある程度必要なため、WebデザイナーとWebプログラマーの上位職として、どちらかを経験してからこの立場になることが多いです。
優秀なWebプランナーがいると、Webディレクターはきっと安心して仕事を遂行できることでしょう。
Webプランナーの上位職は、Webディレクターです。
WEBデザイナー(UXデザイナー)
Webデザイナーは外部デザインを主に担当します。UX(ユーザエクスペリエンス)とも呼ぶこともありUXデザイナーとも呼ばれます。
単に見た目のデザイン性だけではなく、ユーザの使いやすさ(利便性)も重視して設計することが求められます。
利便性だけでなく、近い将来、利用者の感情を動かしたり、感動をあたえたりするような、エモーション(感情)コンテンツなどの市場がますます伸びてくるかもしれません。
コーダー(マークアップ・エンジニア、HTMLコーダー)
Webデザイナーがデザインした”絵”を、Web上に描写するエンジニアのことです。
Webデザイナーの役割は、あくまでユーザ目線でこんな「見た目」や、「使い勝手」を設計することにあるため、それをWeb上に実装することまでは行いません。
そこで、コーダー(マークアップ・エンジニア、HTMLコーダーとも呼ぶ)の出番というわけです。
ちなみにコーダーは、WebデザインをWeb上へ実装とテストまでを担当します。
Webプログラマ(フロントエンドエンジニア)
Webプログラマ(フロントエンジニア)は、HTML、CSS、JavaScriptなどの開発プログラムを使用して、内部プログラムを制作します。
もう少し分かりやすく言うと、Webデザインで設計されたコンテンツで扱われる入力や出力などのデータなど、「動く部分」の全般の製造とテストまでを担当するします。
バックエンドエンジニア
バックエンドエンジニアは、Web製作したプログラムが動くための、apacheやMySQLなどの「ミドルウェア」やサーバOSを設計・構築するエンジニアのことです。
SIerのサーバ系エンジニアに近いですが、違いは「ミドルウェア」まで取り扱いがあるかどうかです。
大量の利用者からアクセスがあった際は、「ミドルウェア」のチューニング次第で、応答時間がわるくなったり、性能不足でWebサイトが表示されなくなったりします。
その意味で、バックエンドエンジニアは、外部デザインなどの注目されませんが、重要な役割を持っています。
Webマーケター(Webマーケティング)
Webマーケターは、SEO(検索エンジン最適化)やWeb広告・SNSを通じて、利用者に対して、Webコンテンツを利用してもらうように誘導する方法を検討したり、実際に施行するエンジニアのことです。
ユーザの利便性(UX)を意識して、すごく良いWebコンテンツを作っても、世の中に知られていなければ、意味がありません。それらを宣伝することを担当します。
Webアナリスト
Webアナリストは、さきほどWebコンテンツ(モノ)提供の流れで説明した④評価をする役割のエンジニアです。
Webコンテンツに対する、利用者の反応や行動を数か月に渡って分析して、それをWebディレクターに報告します。
また、場合によっては何か問題があるときは、改善案の検討も行います。
補足:SES業種とは?SESは職種では無いですよ
最近、Web上で見かける用語で、SES業種とありますが、これは正確ではありません。
SESは、契約形態の一種で「半請負契約」のことです。
雇用の契約形態は、「請負契約」、「半請負(SES)契約」、「派遣契約」と3種類あって、それぞれ労働基準法で、管理責任者などが明確に定められてます。
何がポイントかというと、「業務内容」の指示や、作業スケジュールの管理などを実行できる人間、成果物などの責任がそれぞれの契約で明確に異なっているということです。
「偽装請負」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?
要は、「業務内容」の管理・支持ができない立場の人間が労働者に対して、直接、多くの仕事を与えて、過労などの問題になっていたということです。
「ブラック会社」という単語もこのあたりに関係性がありましたが、今は「労働適正化」を意識する企業が増えて来てますので、かなり減ってきてます。
今の時代、「SES契約で仕事をする」ということ自体には、働く本人にとっても将来につながるメリット・デメリットがありますので、別記事でご紹介したいと思います。
就職・転職を考える際の参考になれば、と思います。
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以上です。
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