2019年4月3日~5日に開催されたの今年最初の大規模展示会であった第3回AI・人工知能 EXPOを振り返ると、印象としては「RPA+AI」の組み合わせソシューションが数多くありました。
RPAとAIは、似て非なるこの2つの技術(プロダクト)ですが、これらの最先端のロボット・自動化ソリューションのITエンジニアを目指す場合、どちらか迷うことありませんか?
よって、本記事では、RPAとAIの違いから、それぞれRPAエンジニアとAIエンジニアの実際の業務内容、および収入や将来性について、簡潔にまとめてお伝えしたいと思います。
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目次
– RPAとは?AIとは?それぞれの基本的な違い
RPAとは…デスクトップ上の手作業を自動化するもの
RPA(Robotic Process Automation)とは、その大部分は「人がパソコンのデスクトップ上でのマウスやキーボード入力作業を自動化したもの」と思って頂いて間違いありません。
たとえば、以下のような業務です。
- Excel画面への会計データの手入力
- 在庫数や発注時期などのWebフォームへの手入力
つまり、人間の手作業(パソコン操作)を“認知技術”を利用してロボットにプログラミングして自動化することです。それをRPAと呼びます。
AIとは…数多くの情報(画像や音声)から、”学習”して”特徴”を自動的に判断して、抽出するもの。
AI(人工知能)とは、この「学習」⇒「特徴の抽出」の過程をロボットが自動化しているところが最大のポイントです。
たとえば、AIでは、数多くの動物の画像から犬の特徴を自動的に抽出し、犬の画像だけを分別してくれます。一方、RPAの場合、人間が犬の特徴を定義して、手動でプログラムに組み込まなければならないということです。
また、AIはその機能により、以下の4つに分類されます。
- 予測系AI…未知のデータから未来を予測するAI
- 識別系AI…画像や動画などAIによる識別認識をするAI
- 会話系AI…チャットボットや自然言語対話などをするAI
- 実行系AI…自動運転やロボット制御を行うAI
上記のように、AIは画像や音声、振動波のような大量のデータやアナログ信号情報を自動処理して判別するのに向いています。
– RPAエンジニアとAIエンジニアの仕事(業務)面の違い
RPAエンジニアの仕事(業務)は3つの役割
RPAは、パソコン上の単純な手入力作業などの業務を洗い出して、それらの業務フローを自動化した際のROI(投資収益率)分析して顧客に提案することからスタートします。
(この役割を担当する業務をRPAコンサルタントとも呼びます)
そして、実際に顧客側が、RPA導入の効果が期待できると判断したら、RPA製品(WinActorやUiPATHなどのRPA開発ツール)を利用して、業務フローの自動化部分をRPA開発する流れとなります。
(この役割を担当する業務をRPA開発エンジニアとも呼びます)
最後に、顧客企業に開発導入したRPAシステムに関する問い合わせや軽微なカスタマイズ対応、改善などを繰り返します。
(この役割を担当する業務をRPAサポートエンジニアとも呼びます)
これら3つの役割の仕事を担当するのが、RPAエンジニアです。通常、上記の3つの役割をRPAエンジニアチームの中で、業務難易度や本人のスキルセット、経験年数に応じて、持ち回りで実施することになります。
AIエンジニアの仕事(業務)は教材と学習カリキュラム選び
次に、AIエンジニアの仕事ですが、いまはRPAエンジニアのように「コンサル、開発、サポート」のように成熟した業務フローになっておらず、そこが大きな違いです。
AI技術自体は、先述の通りAIは自動的に学習して特徴を抽出しますので、人間は何もしなくて良いと思いがちですが、実はAIに学習させるためのデータの「加工(データクレンジング)」と、学習方法という「アルゴリズム選定と結果評価」という作業があります。
例えるなら、AIはまだ小学校に入学したばかりの児童で、教材や学習カリキュラムやしっかり選定してあげないと成果はでないと同じ事です。
その教師役が、AIエンジニアの仕事というわけです。
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RPAエンジニアとAIエンジニアの収入(年収)の違いは?
現時点(2019年4月)の国内企業求人の収入を比較すると、以下の通りです。
- RPAエンジニア(経験者採用)…年収600万~1000万円帯
- AIエンジニア…年収500万~800万円帯
RPAエンジニアとAIエンジニアの年収が、それぞれ何故このようになっているのかをいくつかの考察をお伝えします。
RPAエンジニアの収入(年収)は8分咲き~満開
まず、今のRPAエンジニアの収入ですが、業務導入のイメージがしやすいという特徴もあり、経験者採用などの即戦力であれば、IT業界の中でも高い平均給与帯となっています。
また、未経験であっても、2~3年実務経験を経れば、短い期間で1人前になれるため、キャリアアップ転職等を通じて、1000万前後の高収入になれる可能性も十分にあります。
その意味で、RPAエンジニアは今はまさに注目業種で需要も多く、また年収も高いため、花形業種であると言えます。
AIエンジニア年収は今は低めの5分咲き
一方、AIエンジニアですが、RPAエンジニアと比べて難易度が高い割には、求人募集の年収は低めになってると思うかもしれません。
ただ、これにも理由が考えられます。その理由の1つとして、AI技術自体が、まだ企業で実用段階ではなく、ROI投資ができないため、と思われます。
もう1つの理由として、有能なAIエンジニアは年収1000万オーバーでも欲しいが、基本知識を知った程度のAIエンジニアを育てるという意味での、年収500万~800万円で募集している案件が多いとも言えます。
その裏付けとして、実際に年収1000万~年収1400万円の募集も現在あります。
RPAエンジニアとAIエンジニアの将来性はどう違うか
次に将来性についてですが、「RPAは5年~10年モノ」、「AIは10年~20年モノ」であると想定してます。
その理由について、それぞれお伝えします。
RPA将来性…「5年~10年モノ」の理由
RPAは単純な手作業の業務を効率化する技術であり、導入がイメージしやすく、且つ開発費を抑えて、ニッチな作業部分に適用しやすい特徴があります。
そのため、非常に顧客がROI分析を企業判断しやすく、且つ大きな投資をせずに済むため、導入の障壁が低いというメリットもあります。
ただ、そのかわり、業務効率化の範囲が狭く、あまり業務システムを根底から変えるような、大規模な効果は望めないというデメリットがあります。
いまは実際に各業界においても、最先端技術に飛びつくWeb業界や流通業界で導入が盛んですが、次第に、公共分野や金融分野の業界にシフトしつつあります。
また、日本国内でも都市圏企業から地方企業へRPA導入の波は広がりつつあります。
よって、RPAはこのように今はまだ需要が高まりつつある花形の職種として、今後5年~10年は安泰で、引き続き注目を浴びるものと予想されます。
ただ、前述のようにRPAは、業務効率化の範囲がせまいため、徐々にAIに置き換わっていくのではないでしょうか。その意味で、このAIに置き換わる”過渡期”という位置づけの技術であると言えると思われます。
AI将来性…「10年~20年モノ」理由
一方、AIですが、まだ未学習段階のAIが世の中に多く、各企業や研究機関でPoC(検証)を繰り返している状況です。
ただ、今後は学習済みAIが普及してくれば、クラウドAIなどのAPI提供を通じて、徐々にシェアを広げて来るでしょう。
また、日本政府が2019年3月29日に人工知能(AI)の本格導入に向けたAI戦略案を発表した通り、各専門分野でAIを活用できる人材を年間25万人育てる目標がありますので、今後ますます需要が高まると思います。
参考:AI戦略案 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tougou-innovation/dai4/siryo1-1.pdf
RPAエンジニアとAIエンジニアになるための前提資格や難易度の違い
RPAエンジニアになるための前提条件や難易度
RPAエンジニアは、比較的難易度は低めです。
以下の技術習得が求められます。
- プログラミング基礎知識(VBA)
- 業務フロー知識
RPAエンジニアになるための方法は次の記事で詳しく紹介してます。
AIエンジニアになるための前提条件や難易度
RPAエンジニアは、難易度は高めです。
- データクレンジング知識
- 数学的アルゴリズムを選定する知識
AIエンジニアになるための方法は次の記事で詳しく紹介してます。
今、未経験から目指すならRPAエンジニアとAIエンジニアでどっちがおすすめか?
ずばり、もっともおすすめ方法は、
「最初はRPAエンジニアから業務を始め、次にRPA+AIエンジニアにキャリアップすること」
という進め方です。
その理由は以下の通りです。
・未経験で比較するなら難易度が低い
・早い段階で実践レベルになれる
・早い段階で高収入が得られる可能性が高い
・将来的に若い世代のAIエンジニアが入社してきた場合でも、AI+RPA混在システム環境の有識者(先輩)として優位な立場になる
もし、現時点でどちらか迷うのであれば、なおさらです。
RPAエンジニアとして、業務経験をしながら、AI知識を学んでいくという方法が、
実践的で且つデメリットも無くもっともおすすめな方法です。
冒頭でAI(人工知能) EXPOの話をしましたが、2019年5月8日(水)~10日(金)では、「Japan IT Week【春】前期」が開催されます。
こちらの主なテーマは以下のようになってます。
● 不足した用品の自動発注で「在庫管理の効率化」
● カメラとAIを組み合わせた来店客の「行動データ取得・活用」
● 空港内トイレの使用状況を可視化し「施設管理を効率化」
興味があれば、展示会場まで是非足を運んでみてはいかがでしょうか?
実際にAIを業務活用した事例を見ると一気に理解が深まりますので、おすすめします!
本記事に関する、疑問や質問等、何かあれば、
お気軽にDMください。のっぽパパ@
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